フランス研修記 第4日 ~ブルゴーニュの生き字引と、ムッシュ サン・ヴェラン~

コートドール

2013年07月17日 20:00

    フランス研修記     


第1日 ~ワインの聖地・フランス初上陸~
 http://cotedor.ti-da.net/e5053834.html

第2日 ~女性のシャンパーニュ~
 http://cotedor.ti-da.net/e5054190.html

第3日 ~大男と、ムッシュ・グジェール~
 http://cotedor.ti-da.net/e5061598.html


            






ランス研修記 第4日
 ~ブルゴーニュの生き字引と
  ムッシュ サン・ヴェラン~



ジョゼフ・ドルーアン研修2日目は
コート・ドール南部のボーヌから始まります。
http://www.mikuniwine.co.jp/
winerynews/2012/05/64.html




昨日のクリストフ氏に替り
本日のアテンドはまたまた個性派です。



この個性派については・・・、風の噂により・・・

気難しい人だから・・・、気を付けて・・・

と伺って心配しておりました・・・



お、向こうからムッシュが歩いてきます・・・



彼が噂の
「ムッシュ ジャン・ピエール」です・・・

どうしよう・・・



ん? あれ? 実に、にこやかです!!
(よかった!!)

着くなり、皆に挨拶をして回る!! 紳士です!!



手にワインの段ボールを抱えています。



その彼が
次に発した言葉は・・・

「あー、重い。 おい若いの、これ持て。 
ワシは腰が痛いんじゃ」

と言ったとか、言わなかったとか・・・



彼は一人、痛めたであろう腰をトントンしながら
スタスタと先に歩いて行ってしまいました・・・

今日の旅は、大変な事になりそうです(笑)





この日のブルゴーニュは
時折小雨交じりの実に肌寒い気候でした。

そんな我々が初めに訪れたのは、世界屈指の白ワイン
ジョゼフ・ドルーアン
 モンラッシェ マルキ・ド・ラギッシュ

です。





そんな寒い畑の中で
ムッシュ ジャン・ピエールは益々熱く語ります。



モンラッシェの土地は密度が濃い。

葡萄の木は痩せた土地を好み
そちらの土地の方が根を深く張り

養分をたくさん吸収し、良い葡萄がなり
味わいが風味豊かになる。





ビオデナミは決して宗教ではなく
テクニックの一つ。

ビオデナミが始まった1970年頃は多くの人に理解されず
変人扱いされ、大変だった。

所が、実は世界各地で似たような動きをしている人が居て
ロワールのニコラ・ジョリー、アルザスのマルセル・ダイスが
その人達だ。

インターネットの普及の伴い、情報が徐々に世界へ広まっていき
今日に繋がってきた。



しかしながら本当にビオデナミを理解し
実践しているのは村の2~3%程度であり
多くはマーケティング目的でやっている。

それは非常に残念な事だ。



決してコスト的に大変な訳ではないが
何より人手間が掛かる。

通常の農薬は15日効き目があるが
ビオは6日しかもたない。

月が地球に近づいている時は、細菌が発生しやすいので
ケアをする必要がある。



等々・・・、彼は止まりません。

寒い畑の中で・・・、彼は止まりません。





いい加減、寒くなってまいりました。
そこで我々は
ジョゼフ・ドルーアン社の醸造所へ向かいます。




凄く整った、近代的な醸造所です。






ムッシュ ジャン・ピエール曰く
「設備投資には、畑仕事と同じくらい、大変力を入れている。
この近代的な設備が
ジョゼフ・ドルーアンの誇りでもあるんだ。」





彼が、またまたヒートアップしてきました。

見てください、顔が真っ赤になっています。





彼の傍らには
ジョゼフ・ドルーアン ミュジニー'12
(生産量は3樽のみ)や



フラッグ・シップでもあります
ジョゼフ・ドルーアン クロ・デ・ムーシュ'12
が並びます。



醸造所をくまなく回り、熱心に説明して頂きました。



ひとしきり話を伺った後、ムッシュ ジャン・ピールと愉快な仲間たち(笑)は
昼食に北上、ジュヴレ・シャンベルタン村へ向かいます。



ジュヴレ・シャンベルタン村は
先日のシャブリ同様細かく入り組んでおりましたが
より華やかで、モダンな印象です。





訪れたレストランは、「Chez Guy」。



赤を基調とした、スタイリッシュなレストランです。





おっと、席に着くやいなや
ムッシュ ジャン・ピエールに再びエンジンがかかってきました。





しかし、話の内容は、常にワインの話。

ランチでワインを頂いた為か、酔っぱらったのか否か
今度のムッシュ・ジャン・ピエールは
頭のてっぺんまで赤くなりながら、熱弁を奮います。



そこで、我々には一つの想いが芽生えてきました。

「あれ? このムッシュは
実に真摯な方で、真面目な人なのかもしれない・・・」








午後からは、ジュヴレ・シャンベルタン村から南下し
コート・ド・ニュイを巡ります。

俗にいう、グラン・クリュ街道。
ムッシュ ジャン・ピエールの解説の元
マイクロバスで軽快に通り過ぎていきます。(笑)













そして辿り着いたのは、世界最高のワインの一つである
Romanée-contiの畑です!!!!!









思わず、パシャリ。







このRomanée-contiの畑を少し上った所に
ジョゼフ・ドルーアン
 ヴォーヌ・ロマネ プティ・モン

の畑があります。



当然のことながら、ムッシュ ジャン・ピエールが
紹介したかったのは後者なのですが
嫌な顔一つせず
Romanée-contiの前で、再び彼は雄弁に語ります。



この瞬間、我々の想いは確信に変わりました。

「ムッシュ ジャン・ピエール、メルシーボークー!!
(ありがとうございます!!)」



バスの中は満足感と、感謝の空気に包まれ
一路ボーヌのホテルへ向かいます。



実はこのホテル
ジョゼフ・ドルーアン本社の
目と鼻の先にあります。



ムッシュ ジャン・ピエールと別れ、一休みの後
ジョゼフ・ドルーアン本社へ伺います。





ブルゴーニュの生き字引的存在
ムッシュ ジャン・ピエールとは本日ここまでです。
ありがとうございました。



ここでは、昨日お世話になったクリストフ氏がお出迎えです。
なんでしょう。 この安心感は(笑)





薄暗い地下カーヴでお話を頂いたのち、ティスティングです。



実は、クリストフ氏が手に持つのは
ジョゼフ・ドルーアン
 コルトン・シャルルマーニュ

マグナムボトルです。



残念ながら彼が持つと、マグナムがハーフボトルにしか見えません。





実はこのティスティングの際にも
あのジョゼフ・ドルーアン サン・ヴェラン
が登場。

待ってました!!

これはもはや、運命の出会いです!!





早速ティスティングしてみましょう。

うん、やはり素晴らしい味わいです!!

価格も現実的でありながら、素晴らしい味わいです!!



決めました!!

私は帰国後
ジョゼフ・ドルーアン サン・ヴェラン・ブームを
巻き起こします!!



そう固く誓い
ジョゼフ・ドルーアン社からご招待頂きました
フォーマル・ディナーへ向かいます。



会場は本社兼ショップの所をアレンジした
上流階級の雰囲気が漂っておりました。

フォーマル・ディナーにはジョゼフ・ドルーアン家長男で
栽培責任者であります
フィリップ・ドルーアン氏も同席です。






素晴らしい料理に合わせて用意されたワインのラインナップは
ジョゼフ・ドルーアン
 グラン・クリュ コルトン・シャルルマーニュ 2009

ジョゼフ・ドルーアン
 ムルソー プルミエ・クリュ ペリエール 2009

ジョゼフ・ドルーアン
 ボーヌ プルミエ・クリュ クロ・デ・ムーシュ ルージュ 2010

ジョゼフ・ドルーアン
 グラン・クリュ エシェゾー 1985

ジョゼフ・ドルーアン
 マール・ド・ブルゴーニュ(クロ・デ・ムーシュ)

とこれまた、極上の物でした。

極上のマリアージュに舌鼓を打ち、ディナーは粛々と進みます。















そんな中、実は私・・・


先ほどのティスティング・ルームより
ジョゼフ・ドルーアン サン・ヴェラン
こっそり持ち込んでいました・・・





それがクリストフ氏にばれ
(本当は予め、了承を頂いております(笑))
「そこまで
ジョゼフ・ドルーアン サン・ヴェランが好きなのか!!」
と大変感激して頂き、直々に任命頂きました。

そんな私は、ムッシュ サン・ヴェラン。
そう呼ばれるようになるのです。







ジョゼフ・ドルーアン
の魅力に心酔しきる、濃密な一日となり
夜は更けていきます。







つづく



加藤

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